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恋の手ほどきのsensatismのレビュー・感想・評価

恋の手ほどき(1958年製作の映画)
3.0
2020/154
源氏物語の若紫みたいな物語は古今東西

CBSテレビジョンが1998年から2008年にかけて各部門に分けて毎年ランキングを発表していた期間中、2002年Passion部門35位にランクインしたのがこの映画 アカデミー賞も9部門総なめしている 当時から今に至るまでそれなりに評価されているみたいだけどさっぱりわからないな

登場人物の情緒が数日間で変化し過ぎて戸惑う よくいう成長物語にあるような変化じゃなくて、パリの「恋に浮世に」な社交世界に染まったなって感じの変化だった
女は若いうちが華って価値観の語り口と歌が鼻につく ラシュイユ伯爵の冒頭ナレーションはまんまそれで"Thank Heaven for Little Girls"という曲名の「輝かしい女性に成長する将来有望な幼い娘を愛せよ」みたいな唄を聴かされる なので"I'm Glad I'm Not Young Anymore"この曲が披露された時は仰天した 恋や浮き沈みの激しい感情に振り回される必要がない年齢になれて嬉しい、心の平安が保たれて幸福みたいな唄 ワインやキャバレーで働くような女性への興味が薄れたっていう会話が元となってこの曲が生まれたらしいんだけど映画の世界観はバラバラになってしまってるよな
でも私はラシャイユ伯爵が明るくおどけたような表情で「若くなくて良かった、恋に心を乱されることも眠れぬ夜も気の迷いもない、若くなくて本当に良かった」って歌っているのを聴いて本当に彼はそれで幸せなのだろうなと思ったしそういう幸福に私も憧れる けど、心の中枢を奪われずとして生きる意味は何なのかと立ち返りはしないだろうかと思ったりもするな
明朗で天真爛漫なジジと宝石や社交の世界にいる女性に退屈しているガストンが男女の垣根を超えて兄弟のように仲睦まじく遊んでいる様子は見ていて楽しかった ジジが純白のドレスをガストンに披露して以降この映画は趣向が変わってしまったな 残念

誰から?
王様
立派な?
いいえ 立派な王様はくれないわ
どうして?
宝石を贈る必要がないから
立派な宝石をくれるのは?
それはーー照れ屋 威張り屋 それと成金さんね
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