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屋根裏のラジャーのsensatismのレビュー・感想・評価

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)
3.0
濁りなき涙が流れる映画。
スタジオポノック作品の中で随一に面白くてほっとしたな。

キーワードが「イマジナリー」だったので、『ネバーエンディング・ストーリー』の二番煎じか?と思っていて、確かに子どもが大人になるとかつて持ち合わせていた無限の想像力が消えてなくなるというテーマは一緒だったけど描き方が全く違くて引き込まれた。
ラジャーのイマジナリーがなぜ強いのか、理由が明かされたシーンにぐっときた。人は悲しみを逃がしてあげるために現実逃避(ここでいう想像)をするけど、その想像に悲しみが内包されていて、実は悲しみを抱えながらその先の人生を生きていることが描かれてたと思う。悲しみは乗り越えるものではなく、共生するもの。
ラジャーとエミリ以外イマジナリーの解像度が低かったけど、子どもたちがどれだけイマジナリーを必要としているかの度合いによって具現性が変わるのだなと思った。何かしらが欠けている子ども(ラジャーの場合は父親、エミリの場合は健康)は想像を拠り所にする。赤毛のアンもそうだったなー。

ママ(エリザベス)が冷蔵庫のことを思い出すシーン、銭婆の「一度あったことは忘れないものさ。思い出せないだけで」という台詞を思い出した。イマジナリー上の長崎の出島、『千と千尋の物語』の湯屋をオマージュしてたよね…?千尋とハクが銭婆の家から帰還してきて湯屋のみんなが迎えるシーンを彷彿としたな。
ミスター・バンティング、他人のイマジナリーを奪い自ら数多の想像の世界を渡り歩く姿、宮崎駿だった。暗喩してる気がした。

ジブリ(=スタジオポノック)はイギリスと親和性が高い気がする。
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