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ジュースの一人旅のレビュー・感想・評価

ジュース(1992年製作の映画)
3.0
アーネスト・R・ディッカーソン監督作。

一丁の銃を手にしたことにより、それまでの関係性が崩壊していく4人の黒人青年の姿を描いた青春バイオレンス。

ブラック・ムービーの代表者であるスパイク・リーの作品で撮影を務めたアーネスト・R・ディッカーソン監督による青春バイオレンス。やはり主な登場人物は全員黒人、純度100%の青春ブラックムービーで、特徴的なのが度々流れるラップミュージック。ラップに関しては知識も興味もないので特にコメントできないが、黒人社会の貧困問題とそれに起因する暴力をテーマにした物語はなかなかの見応え。

いつもつるんで万引きなど悪さばかりしている黒人青年仲良し4人組が主な登場人物。不良だが、本格的なワルになりきれない中途半端な連中。だが、そのうちの一人がある日銃を入手したことにより、4人は越えてはならない悪の一線を軽々と越えていく。それまでの友情が崩れ、憎しみだけが仲間内で充満していく様は圧巻の緊張と絶望。クラブDJになるという確固たる夢を持つ青年も、悪の道をひた走る仲間の暴走に巻き込まれていく。結末はオーソドックスで、それに伴う演出も過去に何百回(?)と使い古されたモノで少々拍子抜け。

衝動的な怒りと、その恐ろしさ。つい最近、職場の外部研修で知ったのだが、人間の怒りのピークの持続時間は6秒程度らしい。つまり、怒りに震える6秒間を何とかやり過ごせば、次第に冷静さを取り戻していく。だが、もしその6秒の間に、手近な場所に銃があったら...?本作で躊躇なく殺人を犯してしまう青年も、衝動的な怒りに身を任せて銃口を向ける。【衝動的な怒り+銃】の最悪な組み合わせ。銃が簡単に手に入る銃社会のアメリカだからこそ、衝動的な怒りが殺人事件に直結する。
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