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ねえ!キスしてよの一人旅のレビュー・感想・評価

ねえ!キスしてよ(1964年製作の映画)
4.0
ビリー・ワイルダー監督作。

イタリア・ローマ生まれの女性劇作家:アンナ・ボナッチの戯曲「幻惑の時」を、ハリウッドの巨匠ビリー・ワイルダーと名脚本家:I・A・L・ダイアモンドが共同で脚色、ワイルダー監督が演出したロマンティックコメディの佳作で、嫉妬深い夫が巻き起こす一日の騒動をコミカルに活写します。

ネバダ州のクライマックスという小さな田舎町で美人の愛妻と仲睦まじく暮らしている売れない作曲家スプーナーが、人気者の大物歌手ディノに自作の楽曲を売り込むため彼を自宅に泊めてあげることにしたが、とんでもなく女たらしのディノに愛妻を寝取られることを危惧したスプーナーは妻を実家に一時帰宅させ、代わりに場末のバーで働くホステスのポリーに妻のふりをしてもらうことに…というシチュエーションコメディです。

妻の貞節を信じられない嫉妬深い夫が妻の身代わりとして初対面のホステスをプレイボーイ歌手に献上しようとしたことから巻き起こる一連の騒動と欲望渦巻く人間模様を、ほぼ全編を夫婦の自宅を舞台に軽快に描いていく王道のロマンティックコメディで、夫婦には相手に言えない多少の秘密はあっても“ある程度盲目的に相手を信じ切る”ことが円満な夫婦関係の秘訣であることを気取らずユーモラスに教えてくれる二転三転の夫婦愛コメディとなっています。

異常に嫉妬深い夫に扮したレイ・ウォルストンの早とちりな立ち回りが愉快ですし、派手な風貌とは裏腹に繊細な心を持ったホステスに扮したキム・ノヴァクと、“女を抱かないと翌朝頭痛がする”という超絶女たらしな人気歌手を本人役で演じたディーン・マーティンの絶倫キャラも見物となっています。
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