順慶

別離の順慶のレビュー・感想・評価

別離(2011年製作の映画)
4.2
なんなのだろうこの後味。
あの夫婦は、最後のカットも一緒にいなかった。娘の答えはなんだったのだろう。騒がしい裁判所の廊下。仕切りの向こうと側に妻がいて、こっち側に夫がいる。娘は3人で暮らしたいと思っているはず。

裁判所で離婚の話から始まる。長回しでお互いの言い分を話すだけ。で、妻は実家に帰る。娘は残った。別居生活の始まり。
夫は認知症の父親ひとりを残すわけにもいかず、家政婦を雇うことになる。

小さな嘘が問題を大きくしていく。この展開は監督ファルハディの得意とするものなのだろうか。近作「英雄の証明」もそうだった。自分を守るためについた嘘が、辻褄を合わせるためにまた嘘を言うしかなくなる。

さっきまで知らないと言ってたのに知ってたの?
みたいな嘘がいっぱい紛れている。見ているこっちも裏切られる。えっ。お前も嘘ついてたの? 
娘の目線がとてもよくて、さすがに子どもには嘘は言わせない。

夫婦の問題、教育、介護、そして宗教。いろいろ詰め込まれている。
それにしても問題は男たち。やっぱり暴力は何も生まない。失うばかりだ。カッとなって起こした行動はすべて失敗する。
順慶

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