パドゥ

別離のパドゥのネタバレレビュー・内容・結末

別離(2011年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

これはずっしりきた。
脚本が素晴らしい。出だしのシーンではナデルに非があるのかと観ていたら、妻のシミンの思惑が娘のテルメーのためと言いつつ、自分のためなのではないかと。テルメーは海外での勉強なんて望んでいない。それよりも家族と暮らしたいだけなのに、シミンはそこを理解しようともせず、夫とも子供とも向き合っていない。示談に持ちかけるところなんて腹立たしかった。
ラジエーも、夫のいいなりになる人生を自らが選んでいるが、宗教を盾に仕方のないこと、のように自己保身。それぞれの小さいズルさが、大きくナデルの人生を狂わそうとする。一番かわいそうなのは頭のよいテルメー。心も美しい彼女にどちらか選ばせるとは酷すぎる。ラスト、彼女はどちらにもついていかない、とか言うのではないのか。敢えて選ぶなら、不器用ながらも向き合ってくれる父を選ぶかもしれない。
イランの女性の地位はまだまだ低く、生きていくのも大変だろうから、ナジエーのようにならざるを得ない女性は大勢いるのだろう。
パドゥ

パドゥ