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別離のmisaのレビュー・感想・評価

別離(2011年製作の映画)
3.9
これも評論のお題で。


手持ちカメラの揺れる画。劇中歌は一切なく、我々は物語と現実の境界を失い没入していく。宗教的背景を多分に盛り込み多数の対立構造を描いた秀作である。
「別離」とは何を指しているのか。原題の直訳は『ナデルとシミンの別れ』。邦題の『別離』に込められた余白は、原題以上の読解を促す。
感情的に相手を説伏しようとする大人達と対照に、感情を押し殺し静観する娘たちは最後に重要な役割を果たす。
母親を困窮させた者に向けてソマイェが向けた憎悪の眼差し。父母どちらを選ぶのか、彼らには聞かせようとしなかったテルメー。大人になることを強いられた娘達。
これは意思を獲得せざるを得なかった彼女達の「庇護からの別離」の物語でもあった。
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