三樹夫

狼は天使の匂いの三樹夫のレビュー・感想・評価

狼は天使の匂い(1972年製作の映画)
3.1
ロマの子供を死なせてしまい追いかけられるトニーは、逃亡中にエスカレーターで男が撃たれるのを目撃し、男を撃った二人組に捕らわれてしまう。アジトに連れていかれたトニーだが、そこではチャーリーをリーダーとして大金を得るある計画が練られておりトニーも参加することになる。

原題はLa Course du Lièvre à Travers les Champsと、すまねぇロシア語はさっぱりなんだ(本当はフランス語)。野原を駆ける野ウサギの競争みたいな訳になるのかな。邦題は狼は天使の匂いでこの映画を上手く表現した邦題となっている。
この映画は、大人たちが大金を得る犯罪計画を立てて実行するも、どこか大人になりきれていない子供の遊びという映画だ。トニー含むチャーリー一味は全員大人でチャーリーにいたっては初老みたいな歳だが、全員どこか子供っぽくてやることが子供が遊びでやっているように見える。
この映画で一番いいシーンは記念撮影をするところだ。他の作品でも個人的に記念撮影をするシーンは好き。パッと思いつくのでは『SLAM DUNK』、『幽☆遊☆白書』、『ザ・クラフト』、『竜馬暗殺』と、記念撮影するシーンはどれも良かった。中盤で記念撮影をするタイプは、仲の良さみんなで一緒にいることの楽しさのピークの具現化としての記念写真で、またこの後写真の中の誰かが死に、もう二度とこの写真に写っているメンバーがフルで揃うことはないという切なさがある。

中盤はいい歳した大人が子供みたいにワイワイやってトニーも輪の中に入っていく。これが映画の大部分を占め、この映画的にはこれこそがメインとなっており、序盤と終盤のアクションは副次的な印象すら持つ。おフランスのゆったりした雰囲気の映画で、子供みたいにどこか遊んでいるのが微笑ましい映画となっている。
タバコ3本タワーは『さらば友よ』のコップの中にコイン入れるやつみたいだなと思っていたら、この映画は脚本が『さらば友よ』と同じ人だった。
三樹夫

三樹夫