たく

極私的エロス 恋歌1974のたくのレビュー・感想・評価

極私的エロス 恋歌1974(1974年製作の映画)
3.8
監督自身のごくプライベートな空間を撮ってるだけなのに、見たくないものを見せつけられてるような強烈さが漂うのが原一男ならでは。
元恋人と繋がっていたいがために彼女を映画に出すというのは、ゴダールやベルイマン、ウディ・アレンなどにも共通する映画監督独特の心理なのかなと思った。

登場人物が何を喋ってるのかよく分からないのは「さようならCP」と同じなんだけど、冒頭の喧嘩の場面からまあとにかく武田美由紀という女性の気性の激しい生命力に圧倒されて、下手な感想は受け付けないと言われてる感じがした。

途中でハメ撮りっぽい映像が出てくるのが全編唯一の演出的なシーンで、その後の自宅出産の様子が凄まじい。監督が緊張のあまりピンボケになったというナレーションが入るんだけど、それよりまるで簡単な家事をこなすみたいにあっという間に自力で出産してしまう女の逞しさに息を呑む。
沖縄の日本女性が黒人兵にあっさり妊娠させられちゃう現地の事情は深掘りされないんだけど、終盤の女性と子供たちのコミュニティが女の強さを象徴してる感じだった。
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