blacknessfall

激突!殺人拳のblacknessfallのレビュー・感想・評価

激突!殺人拳(1974年製作の映画)
3.6
一年以上レビューを読んで下さってる方はお気づきかと思いますが、観る映画の偏差値がガンガン下がってる、今年になってから。

もうコロナは収まる気配すらないし、政治もようやく最悪のバカなファシストが辞めたと思ったら、そのバカの最も最悪な部分だけを凝縮したようなのが後継になり、早速、学術界に介入しファシストっぷりを全開にしてるし、、

これだけ悲惨でカオスな生活環境で中で色々考えないといけないから、シリアスな映画を観て深く考える余裕なんて、、ない…。

そんな訳で気軽に考えず尚且つおもしろいとなるとそれは東映なんだよ!

東映と言えば任侠、実録ヤクザ、お色気コメディ、そして空手映画。

東映の空手映画群の中でも、激突!殺人拳が特別なのは世界的にヒットしたこと。
千葉真一はソニー千葉としてアクション・スターとして名声を得た。
有名な話でタランティーノが殺人拳シリーズ好きで脚本した「トゥルーロマンス」の中で主人公が殺人拳シリーズ3本立てを観るシーンがある。
このタランティーノがフックしたことで90年代にもちょっとした千葉真一空手映画がリバイバルもしたよね笑

おそらく、当たりそうなもんは何にでも手を出す東映なんでブルース・リーのおこぼれに与るぐらいのノリで作ったんだろうけど、千葉真一のブルース・リーに引け劣らない身体能力と個性というか、やたらとクセの強いアクションと顔芸、関根勤がよくモノマネしてたあの変な感じ。それとアクション映画の主役とは思えない千葉真一演じる剣 琢磨のキャラ設定で完全なオリジナルとして世界に認知されたような気がする。
世界的に当てようなんて高い志はまったくなかったけど、結果的にそうなったんだと思う笑

ブルース・リーが比較的分かりやすい定番の正義の人であったのと対照的に千葉真一演じる剣 琢磨はニヒルで金に強い執着を持ち、自分しか信じてない孤独な男。要するにアンチ・ヒーロー型だよね。
こういう主人公自体は珍しくないし、感情移入させるために彼がそうなってしまった悲しい背景なんかも画く定番の手法をこの映画も取っている。
この剣 琢磨の過去はかなり壮絶で悲劇的だから、今の荒み切った剣に同情を誘われてもおかしくないんだけど、それが難しいんだよ。
荒みすぎてんだよ、剣が。
死刑囚の兄を助けてくださいという兄妹の依頼で兄を助けたが、兄妹が報酬金を払えないと分かると、激怒して兄をぶちのめし、妹をマフィアに売り飛ばすという極悪非道っぷり笑
もう、アンチヒーローの枠を越えすぎて、どんな過去があっても同情できねえーよ😂

でも、そこがおもしろい。個性的で規格外なアクション映画でサイコー。
blacknessfall

blacknessfall