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自転車泥棒のyzのレビュー・感想・評価

自転車泥棒(1948年製作の映画)
4.8
ネオレアリズモ勉強してた時期に観ず今更。
極めてしんどく辛い話だし、前にバザンの評を読んだ記憶がうっすらとありプロットをなんとなく把握しているのに、しっかり物語として面白くて驚いた。

多くの場面で、物理的に広い奥行きのある空間が舞台になっている。そしてそのフレーム内に多数の人間が登場するが、主人公(と息子)とそれ以外という「一対多」を意識させる画作りがされている。それはシナリオ面での一対多構造とリンク、暗示している。その孤立の行き着く先での「自転車泥棒」シーン。自転車も一対多で配置されている。そして当然人間も同様の構図で、彼が責められる形になっている。
しかし同時に、オープニングとラストは集団の中のひとり(一組)であるのも面白いところだ。綺麗で苦しい円環構造。
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