theocats

リトル・ブッダのtheocatsのレビュー・感想・評価

リトル・ブッダ(1993年製作の映画)
3.5
西欧のフィルターを通したチベット高僧生まれ変わりエピソードと「ブッダ伝説」

この映画だけでアジアの仏教的なるものが殆ど描かれているということは勿論なく、あくまでざっくりとした概要をエンタメ仕立てにし、映像美を伴いつつある程度成功しているのではという印象を受けた。

惜しむらくはキアヌリーブス演じるゴータマシッダールタ王子のブッダ伝説を涅槃場面まで見て見たかったなぁという思いが残ったこと。
演技面に関してはあまり芳しくない印象のキアヌだが、本作のブッダ役は見事に適任だったように見えた。

チベット高僧の生まれ変わり物語はブッダ伝説と上手く絡んでいたように見えたし、まぁいいんじゃないかなという感じ。

予想外だったのが音楽。以前ラストエンペラーでの坂本龍一音楽が余りに情緒的・耽美過ぎて耳疲れしてしまい、本作も坂本さんなのかな?とちらと頭をかすめたが、なんかそれほど悪くない。
「坂本龍一じゃないんだ・・・」と思っていたら、エンドクレジットで彼の名前を目にしちょっと驚いてしまった。


個人的思い出となるけれど、菜食をしていた若い時分、中村元翻訳スッタニパータを本屋で立ち読みした時に、ブッダの言葉が自然に心に入り込んできて「ああっ・・・」とちょっとしたショックを受けてしまい、文庫の翻訳シリーズを全て買い込み何度も何度も読みふけっていた。
今は読み返しても同じ感動が沸き起こることはないけれど、「ブッダの言葉」が何がしかの糧になっていればいいのだがと思うばかり。
theocats

theocats