ちろる

エスターのちろるのレビュー・感想・評価

エスター(2009年製作の映画)
4.3
いやーエスター役のイザベル ファーマンの天才的な演技が怖すぎて、憎らしすぎて途中から偏頭痛が止まらなくなった。
展開が思ったより残酷すぎて、全然ご都合主義じゃなくてもうやめて!と何度も叫びそうになった。
そして中盤から後半にかけての不安感、そして不快感の煽りは上手すぎて、エスターが胸糞すぎて言いたくはないけどサイコホラーとしては秀作でした。

これは見方を変えれば愚かな両親に振り回されたマックスの物語とも言える。
純粋無垢で可愛らしい天使のようなマックスといたずら坊主だけど妹も両親も心から愛しているダニエルがいるなら別に無理やり養子引き取らなくたっていいじゃないか。
「ジェシカに与えるはずだった愛情をほかの誰かに与えたい」とか、それこそケイトの思い上がり、そしてエゴイズムなのではないのかと思う。
わたしには、アルコール依存症で母親として未熟ではないかという自分の負い目の部分を「孤児院からかわいそうな子どもを引き取った自分」で何とか埋めようとしてるのが見えるから100%でケイトに同情する気にはなれなかった。
子どもを引き取るとは相当な事。
まだ自分たちの空いた穴を埋めるためになんてもってのほかだと思う。

ちなみに言うまでもなくジョンはもっと嫌。
お人好しのいい奴なのかもしれないけど、愛する相手を信じられない人間に未来はないというのを体現するようなキャラクターで父親としても旦那としても不十分すぎる。
あれじゃケイトが可哀想すぎる。

愛し合ってるフリをしてギリギリのところで絆を保とうとする2人の不安定な関係に花をつけるために巻き込まれたマックスとダニエルが間違いなく一番の犠牲者なのだと思う。
ミザリーに続いて人間サイコスリラーもの観たのでどっちが怖いか考えてみた。
ミザリーも嫌だけど、エスターの方がもっと嫌だわ。
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