黒猫道

ローマ法王の休日の黒猫道のネタバレレビュー・内容・結末

ローマ法王の休日(2011年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

2014/02/09
圧巻の結末。努力すれば夢は叶う、とか人との触れ合いで成長する、とかそういうハリウッド的映画が氾濫する中で、この法王は自分に人の上に立つ能力がないことを潔く認める。そして、辞退する。
責任を全うすることは正しい。
けど、自分の能力の限界を見定め、諦めることもまた勇気だ。それを描くことは難しいし、おそらく多くの人には受け入れられない。
また、本作において素晴らしいのはその反主流的な主題や結末だけではなく、そこかしこに散りばめられた風刺だ。
間抜けで強引な記者=マスコミ、信者を導くべき存在でありながら薬に頼る枢機卿たち、陶酔的な役者たち、狂った俳優、情緒不安定で傲慢な精神科医、その精神科医の元妻でありまた精神科医でもある女性は何もかも幼少期のトラウマのせいにする。
こうした様々な風刺がこの映画を彩る。
決して面白おかしい映画ではないし、現実には起こり得ないような話の進展であることは確かだ。
けど、監督の知性と世界を見る姿勢が滲みでている。人間のことだから当然なんだけど、宗教・マスコミ・医療・家庭、そこかしこに問題があって。
本作は自分にあう映画評論家を見つける基準になるかも。
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