てんさん

海辺のポーリーヌのてんさんのレビュー・感想・評価

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)
3.5
人の大事な側面は中身だとわかってはいるけれど外見に左右されてしまうし、真実を知りたいと思ってはいるけれど自分にとって都合のいいことだけを信じるんです。

僕たちは“完全な”ものではなく、”なにか欠けている”ものを求めているそうです。
“完全”であることを恋愛においては”平凡”であると読み替えるそうです。

「嘘をついた相手を許す」ことは、相手ではなく自分を守るための行為なんです。
自分にとって都合の悪い真実が明るみになった時、それによって手放したくない理想の現実が壊れてしまった時、いちばん困るのは相手ではなく自分だとわかっているんです。

自分は”許す側”ではなく、”許さなければいけない側”だと本当は気づいているんです。
そしてそれは嘘をつく人もそうなんです。自分は結局”許される”とわかっているからバレる可能性の高い嘘をついてもいいと思えるんです。

他所から見える表面上の立場なんてものにはなんの意味もなくて、根っこをガチッと抑えられてしまったらもうどうなっても逃げ場なんてないんです。

醜いかもしれないけれど、多くの恋愛の形はきっとこうなんだと思います。
相手が自分を裏切った時、執着なく相手から離れることができる人は、きっと選ばれた数少ない人だけなんだと思います。

ひと夏の海辺だからこんな軽率なことが起きるんでしょうか。
いえ、僕はそうは思いません。
てんさん

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