MovingMovies

ファンタスティック Mr.FOXのMovingMoviesのレビュー・感想・評価

ファンタスティック Mr.FOX(2009年製作の映画)
5.0
ウェス・アンダーソン作品に特有の魅力にあふれている。ディテールの緻密さ。それはキツネの毛の動き、虹彩に映る光、動物たちが着ている服の質感。
ちりばめられたユーモア。ぐるぐるになったりばってんになったりする目を見れば、ふくろねずみカイリのファンになってしまう。”僕の言っていることがわかったら、わかったことが僕にわかるように何かして”・・・と言いたくなる。
絵巻物のように水平に移動する視点。

ストーリーには、自我の目ざめ、父親へのコンプレックス、人間による森の破壊、あるいは危険な男を好きになり家庭を持ってしまった女性の悲哀といった点が含まれているが、それらがもし全部なくてもこの映画はきっと魅力的なのだろうと思える。ウエス・アンダーソンの香りで満たされている。

アッシュが鉄道模型を走らせ、泣いていたクリストファソンが起きだして列車の走るのを一緒に見るシーンが印象に残った。言葉ではない子供どうしのコミュニケーションが描かれている。「泥の河」(小栗康平監督)の信ちゃんときっちゃんを思い出した。