クリーム

刑務所の中のクリームのレビュー・感想・評価

刑務所の中(2002年製作の映画)
3.8
規律は厳しいながらも主人公の緩い目線で、描かれる刑務所内は、食事も結構美味しそうで、一般人からしたら知らない事だらけ。興味深い生活でした。実際に服役した経験を漫画にした花輪和一の作品の映画化です。旅行で見学に行った事のある博物館網走監獄等も撮影で使われていました。面白かったけど、平和な刑務所ってどうなんだろう?何か複雑でした。

漫画家ハナワは、銃砲刀剣類等不法所持及び火薬類取締法違反の罪により懲役3年と処され、北海道日高刑務所で服役します。ハナワの303号室では、金持ちの息子で潔癖症の井笠〈婦女暴行罪、未成年買春〉、部屋で唯一の二級受刑者の田辺〈殺人罪〉、腕に自ら“仁議”(仁義の間違い)と刺青を掘った小屋〈窃盗罪〉、薬物に未練のある竹伏〈覚せい剤取締法違反〉が収監されていました。



ネタバレ↓



毎朝、誰の陰毛かで騒いだり、髭剃りの電池の持ちの話等で始まります。
作業中に作業以外の動作をする時は、必ず申告し看守の許可が必要です。消しゴム1つ拾うのもトイレも全てが許可制。
入浴は2日に1回。風呂のない日はバケツで手足を洗う。 規則違反をすると、懲罰房に入れられます。
食事が結構良くて、麦が入ったご飯が主食ですが、そこそこ立派なおかずで、美味しそうでした。年末や正月はおせち料理が出て、羊羹やあべかわもち、栗きんとん等が出る他、エビフライや牛丼等いつもより豪華な料理が出ます。
週に2回は医官が来て、雑な診断をしてくれます。
部屋では夜間にテレビの視聴が可能なのだが、騒いだ為、303号室は1カ月間視聴禁止となりました。
パン食は毎月昼に6回、小倉やマーガリンやフルーツが出る日で、皆楽しみにしていた。
免業日と言うのがあり、土日祝日は工場作業がなし、起床も1時間遅い。午後に昼寝もできます。定期的に行う映画集会が、隔月もしくは月1回のペースであり、お菓子とジュースが支給されます。
303号室の5人は、出所後に会おうとこっそり連絡先を交換した事がバレて、全員が懲罰房行きとなりました。罪名は不正連絡です。
懲罰房では薬の袋作りが課せられましたが、ハナワは作業が気に入り、人に会わず、入浴も1人という独房を快適に思いました。
受刑者の運動として、屋外で野球が行われますが、強制ではなくハナワは雑談専門でした。冬が終わり、芝生にタンポポが咲き始めていました。ここで終わります。

ホントは、もう少し辛い場所だと思うけど、この刑務所はとても平和で、ホームレスより全然良い生活が補償されていて、昨今、刑務所に戻りたがる元受刑者がいるのも頷ける気がしました。博物館に見学に行った時も部屋や施設内がキレイな事、食事が良い事に驚いたのですが、この映画でも同じ印象でした。罪を犯した人達の生活があれで良いのだろうか?って、ちょっと思いました。勿論、人権も大事ですけど、被害者もいる訳だし、ちょっと複雑な気持ちになりました。名優ばかりなので面白かったのもあると思いますが…。市川中車の本物感はやっぱり凄い。
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