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狼たちの街の一人旅のレビュー・感想・評価

狼たちの街(1996年製作の映画)
4.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
リー・タマホリ監督作。

愛人を殺されたロス市警特捜班警部補の苦悩と復讐を描いたサスペンス。

『戦場のメリークリスマス』(1983)の助監督を務めた後、アンソニー・ホプキンス主演のサバイバル映画『ザ・ワイルド』(1997)や『007/ダイ・アナザー・デイ』(2002)でメガホンを取ったニュージーランド出身、リー・タマホリ監督によるサスペンスの佳作。

1950年代初頭のロサンゼルスを舞台に、ロス市警特捜班のチームリーダー:マックスを主人公にして、愛人だった女が不可解な死を遂げた事件を捜査する主人公の苦悩と復讐の顛末をミステリータッチ&サスペンスフルに描き出しています。

少し風呂敷を広げ過ぎたような作劇が特色の刑事物で、一人の女の無残な死を発端にしてアメリカ核開発の闇と陰謀が浮かび上がっていきます。主人公ら特捜班は暴力の行使を厭わない超法規的な捜査が得意で、しかも主人公に関しては私生活で妻を裏切る不貞行為を働いた、いわゆる正義のヒーローとして描かれていません。“毒をもって毒を制す”的なサスペンスであります。また本作品に好感を持てる点は、罪を犯した主人公自身にもそれに見合った落とし前が待ち受けていることです。そうした意味では不評な邦題「狼たちの街」も、キャラクターそれぞれが“罪”を抱えた狼の巣食う街として善人不在の物語を象徴しています。

主演はキャリアを通じて警官役がぴったり似合うニック・ノルティで、彼の相棒をチャズ・パルミンテリ、孤独な妻をメラニー・グリフィスが好演しています。さらにジェニファー・コネリー、マイケル・マドセン、トリート・ウィリアムズ、ジョン・マルコヴィッチ、ブルース・ダーンといった実力派の面々が脇を固めた豪華なキャスティングも特筆に値します。
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