宇毘友鵶

父親たちの星条旗の宇毘友鵶のレビュー・感想・評価

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)
4.2
日本人から見たアメリカ人は愛国心に燃えてていっつもUSA!USA!ってしてるよな。でも本当のところ、日本人があまりにも郷土愛が無いだけなのかもしれない。単に彼らは好きなものを好きと言ってるだけなのかも。
でもそれでも、その悪い点、卑怯な点には批判を加える。英雄は造られた?誰もそんな耳触りの悪い事実なんて求めていやしない。もし俺が監督なら、例えば日の丸をテーマにした映画を作るなら、お涙頂戴のメロドラマか、ネオ右翼みたいな翼賛映画になってしまうだろうね。しかしイーストウッドはそこが違う。この鉄血の批判精神はどこからくるんだろうといつも不思議に思う。好きなら好きなだけでええやんけ。でも彼はそこに眠る事実を掬い取って、繊細な心の機微までをも映し出す。國、あるいは国民意識という責任の所在が曖昧な存在の罪をあらわにする。とはいえ一抹の、幾分おどけた親愛の眼差しをもって。

硫黄島からの手紙とセットで観て、日本人であるあなたは何を考えるだろう?という問い掛けが聞こえてくるように思った。彼らもまた苦しみ、重荷を背負い、愛すべきもののために戦った。そこに日米間での本質的な差は無い。大和魂もアメリカンスピリットも、俺は等分に愛したい。
宇毘友鵶

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