つるみん

ミスティック・リバーのつるみんのレビュー・感想・評価

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)
4.0
ひとつの事件があんなにも痛ましい事件に繋がるなんて、誰が想像しただろうか。イーストウッドが描くミステリーサスペンス。

ボストンの街で育ったジミー、ショーン、デイヴ。いつものように路上で遊んでいた3人はまだセメントが固まってない公共の歩道に自分たちの名前を刻み込む。ジミーとショーンの名前は完全に刻み込まれたのだが、デイヴの名前だけ〝DA…〟の途中で警察に見つかり、その場から家が遠かったデイヴだけが家まで送って親に忠告するとして車に乗せられた…。

これが偽の警察官だったなんて気づくはずもない。デイヴは誘拐され4日の間、性的暴力を受け帰ってきた。

それから25年の歳月がたち、3人は大人になり家庭も持つようになる。しかしデイヴの心はトラウマを背負ったままである。その傷口が広がることになる2つの事件が起きる。ジミーの娘が殺されてしまう。殺人課の刑事となっていたショーンがその事件の担当になる。同じ日にデイヴは血だらけになって帰宅し、人を殺してしまったかもしれない。と呟く。25年前の事件以来3人があの事件を思い出し、重ね合わせる…。


ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコン。この3人はそれぞれ有名作を持ち、さらに監督経験ありの映画に対して熱い3人。
この3人の演技力に誰が文句をつけようか。完璧だ。

次に述べるべき点は何と言ってもイーストウッドだ。彼はしっかり伏線を与えている。
子供のころ歩道に書いた〝DA…〟のようにデイヴの心もその時から止まっているのだ。

また序盤の偽警察官の指にはめてある十字架。デイヴが暗闇の中テレビ見てそこに映る十字架。そしてジミーの身体に刺青として刻み込まれた十字架。デイヴの目に十字架がどう映っていたのか。とても奥深い。

人間は過去をいつまでも引きずる生き物であり、またそれが狂気へと変わることもある。人の命をこういう形で描いたイーストウッドただ者じゃない。

ただもう少し〝殺害〟の理由が明確であってほしかった。

また僕の中で衝撃的だった〝プリズナーズ〟に似ている。
つるみん

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