Pinkman

ミスティック・リバーのPinkmanのネタバレレビュー・内容・結末

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

真相は河の中。

少年たちの悪ふざけが新たな事件を引き起こした。
ショーンはいつも先のことまで考えて行動した。周囲に流されることなく冷静で、仲間の忠告にも耳を貸した。事件をきっかけにショーンは人生をやり直した。デイヴはいつも言われたままに行動した。脅しに弱くその場の状況に流されやすい。事件をきっかけにデイヴは人生を台無しにされた。ジミーはいつも後先考えずに行動した。裏社会から一度は足を洗ったが再びこの河に戻ってきた。事件をきっかけにジミーはまた罪を犯した。

ショーンはジミーを逮捕しなかった。罪を見逃すことでジミーにもう一度人生をやり直すチャンスを与えた。それはジミーがデイヴにできなかったことだった。ショーンは復讐や逮捕といった“罰を受けさせる”方法ではなく、罪を赦すことでこの事件の連鎖を断ち切ろうとした。それにジミーを逮捕すればサベッジ兄弟に復讐されることも分かっていた。ジミーはこの町の支配者だ。“ファミリー”を裏切ればこの町で生きてはいけない。

腹を割って話すことができていれば悲劇は起こらなかった。家族や夫婦の間で隠し事をせずに言葉にして伝えることができていたら愛する人を失うこともなかった。口に出さず黙っていたら家族にさえ真実は分からないんだ。


ずっとその話がしたかった。
ずっとその言葉が聞きたかった。

事件をきっかけに逆戻り。
少年の頃と同じ道を辿る。
二度と戻れない日々。
死ぬまでリンゴはリンゴ。

口が堅い不器用な夫婦、口が滑るお喋りな夫婦、口を割らせて裏切る夫婦。どこも似た者夫婦。

復讐からは悲劇しか生まれない。コンクリートの名前。背負った十字架のタトゥー。一生消えないあの日の記憶がまたひとつ刻まれる。
Pinkman

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