このレビューはネタバレを含みます
"真珠の耳飾りの少女"グリートを演じるスカーレット・ヨハンソンはもちろんのことだが、出てくる人物みんながみんな本当に絵画の中から飛び出してきたように思えて最初から目が釘付けになった。
フェルメール家の人々みんな自分勝手で振り回されるグリートの心境を思うと涙ぐましい。忠告するピーターは視聴者の代弁をしてくれているかのようだ。フェルメール家では同じ使用人のタンネケの存在が救い。視聴後にタンネケは《牛乳を注ぐ女》のモデルと言われていることを知って既視感に納得がいった。
グリートがフェルメールにピアスの穴を開けてもらうのは、肉体関係はなかったけど破瓜のつもりなのだろう。直接的にそういうことしてる相手はピーターなのにフェルメールとの一線を引いた触れ合いのほうがエロティックに感じるのは不思議。背徳感のせいか。というかピーターは真剣にグリートを好きなのにグリートの性欲処理に使われたのかな。グリートより更にかわいそうだ……。
結局フェルメールはグリートのことを芸術の理解者として心を許したのであり、熱心に見つめていたのはモデルだから観察していただけで、官能的な表情を引き出して描いたのはパトロンがそれを望んだから……。恋愛の対象はあくまでも夫人だったのかもしれない(子沢山だし)。なのに夫人からは芸術を理解されず不貞だと詰られ、グリートからは受け取れない恋心を向けられてしまったのか。難しい。でもこの話はグリートの主観を描いているからフェルメールもグリードに対して気があるんじゃないか? と思えるシーンが度々あるのだと思った。