無学

モハメド・アリ かけがえのない日々の無学のレビュー・感想・評価

4.5
フォローさせていただいているフィルマーさんから刺激を受けてのレビュー。

…が!
拳闘キチ◯イだった頃、VHSに録画していた本作はすでに手元に無し…(ToT)

自分はマイク・タイソン直撃世代ではあるが、なんとそのときジョージ・フォアマンが現役復帰(!)

ホリフィールドとの対戦は、アリから喫したキンシャサの奇跡の自身へのリベンジとはならなかったものの、インターバルで一切座らない老兵の姿に心を打たれた。

ノートン、フレージャー、フォアマン…
かつてヘビー級に、きら星のごとく並んだ猛者たちと渡り合い、ビッグマウスが吐く放埒な言動で群雄割拠の最重量級を盛り上げた「ザ・グレイテスト」

他方の「馬」で「鹿」な「亀」の三兄弟たちの「負けたら切腹!」などとうそぶく安売りのリップサービスとは次元の異なる、MSGを超満員にできた本物のスーパースター。

アリが活躍した当時、ここ日本ではマラソンの円谷選手が重圧に押し潰され
「三日とろろ美味しゅうございました」
と、本当にスーサイドしてしまうような
時代の空気というものがあったのだとすれば、亀◯の言動にはどれだけの覚悟が伴っていたのか。

アリたちがファイトしたメリケンには
かような異質な空気はなかっただろうけれど、赤狩り同然に弾圧を受けたアリは覚悟を持って吹聴していたのだらうと。
かっこよいではありませぬか。

リングの内外その一挙一動すべてがスタイリッシュで色気が漂う。

彼の代名詞「蝶のように~」はリング上でのダンサブルな姿からくるものだが、
もうひとつの代名詞「ビッグマウス」は
まるで4つ打ちに合わせるようなテンポでインパクト大。

映画ロッキーではライバルのアポロが彼をサンプリングしているし、
主人公ロッキーも、地元フィラデルフィアの市場や裏通りをロードワークしているとき、町の子ども達がフラッシュモブ顔負けに、どんどんロッキーの後ろについていくシーンは、
まさにキンシャサの奇跡を起こしたザイールを走るモハメド・アリである。

ボマイエ!ボマイエ!

凄まじい高揚感。

すでにピークを過ぎたグレイテストが
ロープ・ア・ドープで凌ぐ姿さえも色気があるのだ。

アリのベストバウトではないかもしれない。
でも、これほどドラマチックな試合は映画をも超えた傑作。ということで。
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