ちろる

ぼくの伯父さんの休暇のちろるのレビュー・感想・評価

ぼくの伯父さんの休暇(1952年製作の映画)
3.8
『ぼくの伯父さん』よりも少し前に作られた、
ジャック・タチ演じるユロさんシリーズ第一弾。
海へ向かう電車はどれとすし詰めで、皆が先を急ぐ中、ヨタヨタとしたボロ車でユロさんも海へ向かうが、ホテルではユロさんまく招かれざる客。
無口だし、極力目立たないようにしていても滑稽な上にデカいから何故か悪目立ちしてしまうユロさんが起こす小さな騒動の数々は爆笑!ってわけではないけどクスッとさせられる。
テンポのゆるやかなチャップリンやバスター・キートンのような雰囲気でしょうか?
(ラストのはちゃめちゃぶりはMr.ビーン並み)

これといったストーリーがなくそれぞれの出来事をつなぎ合わせたような穏やかなヴァカンスの描写がフランスらしく上品な仕上がり。

ユロさんだけを中心に映すのではなく、海辺のバカンスの詩情なおしゃれかつユニークです。

貝殻を拾う妻と捨てる夫
アイスクリームを二つ買う小さな男の子
服装が被るご婦人たち
などなど、
どうでも良いシーンのスケッチが彩りとなり、50年代のフランスのノスタルジーをふんだんに感じることができます。

誰にも相手にされず、ラストに無言で立ち去るユロさんの姿は切ないですが、ちゃんと救いが残されていてあったかい。

伯父さんと一緒にちょっとユニークなフランスのヴァカンスを過ごせた気になって心地いい作品でした。
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