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ラテン・アメリカ/光と影の詩のtheocatsのレビュー・感想・評価

3.8
アルゼンチン最南端の町から家出した青年が、父を訪ねてチリ・ペルー・ブラジル・ボリビア・メキシコへと南米・中米を自転車とヒッチハイクで遡っていきながら、各地の歴史的経緯と現代政局を戯画的に風刺しつつ描いていく、壮大なロードムービー。

最初の学校場面が廃れた刑務所跡地を使っているような感じから始まり、コメディまじりでありつつも、シリアスに考えさせられるような場面もあり、南米各国の政治状況に通じている者であればシニカルに笑えるのかもしれないなぁなんて思ったりもした。

父親と息子の再会劇という一本筋が通っていたことで、多少の情緒的気分が醸成された側面はあるが、そんなに感動したとか、知的好奇心が満たされたとかなかったけれど、それでも幻想まじりのラスト場面は、奔放で反抗的だったバカ息子も精神的成長を遂げたことが見て取れ、こちらも気持ちよく見終えることができたのは何よりだった。

各国を見知らぬ人間にとっては、ちょっとした観光旅行気分も味わえるであろう。
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