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スリーピー・ホロウのRのネタバレレビュー・内容・結末

スリーピー・ホロウ(1999年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

1999年公開のホラー。

監督は「シザーハンズ」のティム・バートン。

サタシネにて鑑賞。

話は1799年、ニューヨーク郊外、ハドソン川沿いの村で起こった連続首無し殺人事件を解決するするために派遣された捜査官、イカボッド・クレーン(ジョニー・デップ「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」)。

早速、捜査を開始するイカボッドだったが、そこに現れたのは20年前の独立戦争で残虐の限りを尽くした兵士が首無し騎士として蘇った姿だったというもの。

ティム・バートン作品の中で一番好きな作品は?と聞かれたら、俺は「シザーハンズ」でも「チャーリーとチョコレート工場」でも「アリス・イン・ワンダーランド」でもなく、間違いなくこの「スリーピー・ホロウ」を挙げる。

だって、もう最高でしょ。

閉鎖的な村で起こる連続殺人事件、現れる首無し騎士、上質な推理劇、そして首チョンパの嵐、もう一度言おう、最高であると!

もっと言ってしまえばジョニー・デップ主演作の中でも一番好きだ。

兎角、こういうミステリーものって、大体が多かれ少なかれ「巻き込まれ型」だと思うんだけど、今作のイカボッドも有にもれず、そのタイプ。

けど、それを演じるのが、圧倒的な「陰」の空気を纏ったジョニデだから、たまんねぇ!!

その頼りなさげな面構え、(おしゃれな)ボサボサ頭、しかし真の局面では冴え渡る推理力…。

日本の金田一耕助や江戸川コナンにも負けないくらいの探偵映画における「主人公」としての魅力を備えたキャクターだ。

それでいて、死体を見ると卒倒しちゃうお茶目な部分も持ち合わせてるのが隙がないというかなんというか…憎たらしいっ!!これで女子受けは抜群だなっ、おい!!

冒頭の賑やかで物騒な都会のシーンから一変、イカボッドが依頼を受け、向かうのは陰鬱で見るからに不穏なムードが漂う村「スリーピー・ホロウ」。

この頼りなげな探偵(今作では捜査官)が都会から隔離された小規模な場所に向かうということで、横溝正史的な上質なミステリーが「遂に、始まる。」感じがして、いつ観ても胸がワクワクする。

また、村の雰囲気が良い。ゴシックな舞台環境には定評があるティム・バートンが手掛けてるってのはもちろんなんだけど、今作の音楽を手がけるのがご存知「ナイトメアのビフォア・クリスマス」のジャックの歌声でもおなじみダニー・エルフマン!!ということで雰囲気はこれ以上ないくらい抜群の一言。

不穏なキャラ配置がそこここで展開される中、そこでイカボッドが運命的な出会いを果たすのが今作のヒロインでありヴァン・タッセル家の令嬢、カトリーナを演じるクリスティナ・リッチ(「ニューヨーク、愛を探して」)!!

…カワエエッ!!もうカワエエ!!

もう、息を呑む美しさとはこのことだろう。公開年が1990年だから、正確な年齢がわからないけど多分20歳くらいか。にしても、顔立ちが幼い。元々、童顔だけど、それに似つかわしくないグラマラスなボデー!!コルセットであげているとはいえ、ロリの気がなくても今作のリッチは誰しもが心奪われるはずだ。

あと、ギョロっとしたおおきな眼と薄い眉毛が、ものすごーくゴスっ気があって、ティム・バートン好みだったんだろうーなーとも思ったw

そんな美男美女の主人公とヒロインが立ち向かうのが、殺害のが執行人である首なし騎士!!

アイルランドで古くから伝わる妖精「デュラハン」としても有名なこの首なし騎士だが、おそらくその中でも最恐クラスだろう。

しかも、騎士の首である本体を演じるのが、強面俳優トップクラスのクリストファーのウォーケン(「メン・イン・キャット」)が演じるんだから堪らない。

悪魔のように尖りきった歯、見開いた目、血の気の引いた顔と、まだ首がない方が愛着を感じるくらい、恐ろしい。

闇と共に愛馬「デアデビル」で舞い降りたかと思えば、ターゲットを執拗に追いかけ、かならず首を刈り取る…。

もうそれこそ、チョンパチョンパと無機質なまでに人の首が宙に舞うのである。

その数なんと「18回」。一つの作品でですよ?

その姿は冷徹な殺人マシーンであり、まさに死神。

また刈り取った首を必ず持ち帰る騎士の塒である「死人の木」をイカボッドが掘り起こして見ると…おぉー、こわっ!!

でも、恐ろしさと同時に第三者であるイカボッドの目から見る首なし騎士は恐ろしさと同時にスリリングなカタルシスを感じさせてもくれる。

そして、最後、遂に自らの首を取り戻した騎士の去り際のなんと悍ましいことよ…

微かな証拠から真実を突き止め、真相を華麗に明かす推理劇、イカボッドと恐るべき首なし騎士との活劇チェイス、そして意外な真犯人!!

その一つ一つがいちいちツボを心得ていて、鑑賞後感は常に上質な作品を観た後の高揚感でいっぱいだ。

古き良きホラー映画を観た、そう感じられる。

だからこそ、今作は18年経った今観ても色褪せない。

ティム・バートンのフィルモグラフィーの中でも彼の才気走ったセンスが冴え渡る傑作だと思う。
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