コミヤ

夏の庭 The Friendsのコミヤのレビュー・感想・評価

夏の庭 The Friends(1994年製作の映画)
4.5
少年たちは、イノセントで残酷な好奇心から生まれた交流を経て、生と死に向き合う。人の死と死を間近にして浮かび上がる生を目の当たりにした彼らは、他者への想像力を養うことになったのだろう。
他者への想像力とは他者の生きる/生きた痕跡を自分の中に残し、その痕跡と共に生きることを意味しているように思える。
「時々考えるんや、みんながもっと上手くいく方法があるんちゃうかって」
その方法とは、彼らのようにきっかけはどうであれ、他者に対して好奇心と想像力を働かせ、他者の痕跡を自分の中に残すという人間同士の営みを永遠のサイクルにすることなのだと思う。
ラストの朽ち果てる寸前の家の映像に突き付けられる現実が、映画を見ている鑑賞者と直接対峙する。庭で枯れた草を刈り取り、新しい種を植えられるか、剥がれ落ちた塗装を綺麗なペンキで塗り直せるかは自分たちにかかっているのかもしれない。

戦争を絡めて想像力について言及した『この空の花 長岡花火物語』を連想した。

死への異常な恐怖やホームレスへの関心など自分の小学生の頃を思い出した。

主題云々以前に、長回しのフレームの中で生命力溢れる少年たちがフレームアウト、インしながら好奇心、悪戯心の赴くまま生き生きと動き周る画面を見るだけでちょー楽しかった。
コミヤ

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