しばにゃん

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまでのしばにゃんのレビュー・感想・評価

4.2
さすがのサム・メンデス監督。
『タイタニック』の主演2人に加えてご丁寧にキャシー・ベイツまでキャスティングして作り上げた映画がこれですか。

悪意の塊のような作品で、見ていて息が詰まりそうになるんだけど、目を離せないエネルギーを放つ怪作。
大傑作『アメリカン・ビューティー』にもしっかり通ずるものがある。

この監督の描く家族像はいつもシニカル。
その時代では理想的と思われるような家庭が抱える闇の部分を、リアルな口論シーンで浮き彫りにする。
『アメリカン・ビューティー』では、アネット・ベニングのコメディエンヌぶりが冴え渡ってかなり笑えたけど、本作のケイト・ウィンスレットのヒステリックなキレ芸はド迫力が過ぎて笑うどころか呼吸困難に陥りそうになる。

理詰めの旦那とヒステリックな妻というステレオタイプな男女描写の裏で、破れかけの夢を追うのが妻の方という設定も面白さに一役買っていたと思う。

無知なので時代背景とか当時の経済状況とかは全然わからないのだけど、資本主義・新自由主義の台頭で金持ちが大正義とされていた事は何となくわかる。

死ぬか生きるかみたいな原始的な問題はとっくに解決され、ある程度物質的に豊かな暮らしが保障され始めたこの頃が、エイプリルのように自分の「生き方」について疑問を感じ始める人が現れ始めた最初の世代なのかもしれない。

とにかく、とんでもない映画を見てお腹いっぱいです。
ありがとうサム・メンデス。今夜は夢見が悪そうです。
しばにゃん

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