Scarborough

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまでのScarboroughのレビュー・感想・評価

4.0
映画のもととなっている原作小説 Richard Yates "Revolutionary Road"を読んだことがありストーリーを知っていたので、なんとなく観るのを躊躇っていた作品。
しかも、サム・メンデス監督。

外から見れば、可愛い子供もいて、郊外に素敵な家を構えていて、美男美女で…誰もが羨むような夫婦だけれど、その内情は当人たちにしか分からないし、当人たちが一番、苦しいほど、よく分かっているもの。

建前と、本音と、微かな希望と、底のない絶望とが激しく入り乱れる様子に、フランクとエイプリルを演じる2人の息遣いに、終始圧倒されっぱなしだった。

どちらも間違っていないし、どちらの気持ちも痛いほど分かるから、観ていて、こちらまで追い詰められるような気持ちになる。

物語の終わりに、フランクがある事実をエイプリルに告げた時、彼女の口から出た「どうして?」には、言葉を失う。謝罪というのは、時に、罪を犯した者が、謝罪した事実によって自らを救うための行為でしかあり得ないのかもしれない。

ラストの虚ろなカットは象徴的だった。

凄まじく悲劇的に描かれているけれど、2人に起こったことは、どんな夫婦にも訪れうる危機であって、特別なことではないのだと思うと、だからこそ、家族を持つ前に観ておきたい映画かもしれない。

トーマス・ニューマンの音楽は、やっぱり最高。
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