アバンギャルドな都会の音に、アフリカなどのエスニックサウンドを加えて、ロックの壁を打ち破ったトーキングヘッズ。
幕が開き、足元の白い靴と手持ちのラジカセを写してから、メンバーが一人ずつ増えバンドという形を成し、音が厚みと中毒性を持っていく過程。怪奇アクターのような動きを見せながらも、ステージ構成に一切の無駄はない。
そんな生の音を生け捕るカメラもまた見事で、余計な装飾のない演出スタイル、舞台上の熱気と引きのアングルのカッコ良さ、さらにラストではじめて観客の熱狂するリアクションを写すことで、最高潮に達した空間や空気感を密封させることに成功している。