海賊ラジオ局でティーンエイジャーの心情を代弁している高校生(クリスチャン・スレーター)が、素性不明のヒーローとして神格化されていく。ガラスの十代の解放運動を描いている、青春ヒューマン・ドラマ。
プロデューサーと仲違いしながら撮影を続けた「タイムズ・スクエア」に未練を残しているアラン・モイル監督が、同じような題材を採用。ラジオと音楽の影響力、多感な十代の人間模様、権威への反発、癒やしを追い求める心理など、重複する点が多い。
本作の主人公は、今日のスラングに置き換えると「ネット弁慶」に近いものがある。普段は小心者だが、ラジオ局に入ると饒舌家に変身する、いわゆる「ラジオ弁慶」の少年の物語。自分が発信するラジオの波及力に葛藤しながら、殻を破るまでの道程が描かれる。
主人公のカリスマ性がイマイチ伝わってこないが、「タイムズ・スクエア」の別バージョンという観点では、これでオーケー。クリスチャン・スレーターのしたり顔をアップで眺める時間が大半なので、彼のファンなら尚更楽しめるだろう。