マット・デイモン、グウィネス・パルトロー、ジュード・ロウという錚々たるキャストの若かりし頃が美しいイタリアの景色と相まって素敵な青春だと思っているとだんだんと怪しくなる雲行きにハラハラする。
憧れから元々得意だった分野を活かしてなりすまして生活するが嘘を重ねることで自分の首を絞めていく様がこの場合は犯罪と絡まり大袈裟ではあるが人生の教訓のようだった。
“地下から出られない”と愛するピーターに対して嘆くラストの台詞が今も頭に残るが、どんなに上手に偽って他人が気付かなくてもトムはディッキーにはなれないとを痛感してある程度読めた結末なのに苦しくなる。
トムはどう生きたら幸せになったのか、について考えるとディッキーと出会う時点でこの運命には逆らえなかった気がする。
あとはグウィネス・パルトロー演じるマージの女性像がとてもリアルで常に男性を盾ながらも自分の中で確信が持てることには強く出るのに感情的になってしまう部分、ディッキーの父や周りの男性から100%の信頼を得られない部分などが苦しい。
周りがマージの言葉を信じていたら違う結末だったのではないかと思うほどに。