藤田武彦

沈まぬ太陽の藤田武彦のレビュー・感想・評価

沈まぬ太陽(2009年製作の映画)
2.9
描かれる組合つぶしが、面白い。
人事権による脅し、従業員どうしを競わせる、異性コンパニオンを使った接待、など。
裏金作りも、他の映画ではあまり描かれず、興味深い。
水増し発注など、似たようなことが行われているのだろう(^^

対する組合の側は、ボイコットでたたかう。
今の時代に、下の従業員どうしで連帯することは可能だろうか。

電線も建造物もない大平原に立つ主人公。
彼に仲間はいるだろうか。


200分だが熱量があり、飽きずに観ることができる。
しかし、物語に満足できず、メッセージも消化不良感。期待外れ感が残る。TVドラマでよいのではないか。

重いテーマを扱い、長大な割に、散漫な印象。
実は、墜落事故は背景の材料に過ぎず、組合つぶしの方が主題。
ならば、組合つぶしとアフリカの平原の対比を際立たせる方が良い。

演出の意図を明確にし、分かりやすく落とし込んだ方が良い。
また、感情の流れがつながるように、エピソードを時系列に並べ替える方が素直だろう。
墜落事故を導入に利用しなくとも、組合活動を魅力的に描ければ、観客はついてくるはずだ。
藤田武彦

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