こんぶトマト文庫

スーパーマリオ/魔界帝国の女神のこんぶトマト文庫のレビュー・感想・評価

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世界のNINTENDOの看板兄弟であり、もはや知らぬ人はそうそういないのではないかと思ってしまう程に有名な二人組、スーパーマリオブラザーズ。
2023年にアニメ映画が話題となったその30年ほど前に、じつは実写版が公開されていたのは一部で有名な話。

ブルックリンで配管工を営むマリオ兄弟。兄のマリオ・マリオは小太りでヒゲのナイスガイ、弟のルイージ・マリオは直感型なおっちょこちょい。ある日ルイージは町中でデイジーという女の子に一目惚れする。互いの身の上話も交えて意気投合したのも束の間、デイジーは何者かに拉致される。助けに向かったマリオ兄弟が辿り着いたのは、6500万年前に地球に落下した隕石によって発生した、恐竜人・クッパが支配するもう一つの世界だった―――

最後の一行で察せる通り、この映画はマリオブラザーズの設定を部分的に登用してはいるものの、本来の世界観とは程遠い作品となっている。
まずピーチ姫は存在しておらず、キノコは粘性と弾性のある菌糸の集合体として出てくる。マリオは道具を使わないとジャンプできない高所恐怖症でやたらモテモテ。ヨッシーはとても背中にマリオを乗せられなさそうなサイズのただの恐竜で、そもそもマリオとの絡みは特に無い。ファイアボールは手持ちのライフル銃からバカスカ撃ちまくるし、マッドマックスに出てきそうな極悪改造パトカーを盗んで敵から逃走する兄弟。

観終わってみて存外楽しめたなと思ったけれど、それはおそらく途中でマリオブラザーズのことを忘れるよう努めたからだと思われる。
そんないたいけな努力をせせら笑うかのように、ちょこちょこ原作オマージュらしき要素がそこここに顔を出してくる。
お金がかかってるのもよく伝わってくる絵面、とりわけクッパが支配する町の有り様は相応に見応えがあったので、あまり細かいことは考えずに観るとけっこう楽しい映画だと思う。