Kumonohate

忍ぶ川のKumonohateのレビュー・感想・評価

忍ぶ川(1972年製作の映画)
4.0
そもそも本作のヒロイン役は、当初は吉永小百合で進んでいたというが、もし計画通りだったらどうだったのだろう? 健気で明るいけど暗いというヒロインのキャラクター、幸福だけどどこか翳りがある(暖かいけどどこか寒い)という作品の雰囲気に、果たしてマッチしていただろうか。

まあ、そんなことは比較のしようが無いし、比較に意味もないので、考えても詮無いことである。

だが、雪を描くためにはモノクロでないとダメだという熊井監督のこだわりに貫かれ、初夜に全裸で抱き合う加藤剛と栗原小巻が、鈴の音に気付いて立ち上がり、毛布にくるまって外を走る馬ソリを眺めるというクライマックス・シーンの鮮烈さを体験してしまうと、やはりヒロインは栗原小巻で良かったんじゃないかと思ってしまう。
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