忍ぶ川の作品情報・感想・評価

「忍ぶ川」に投稿された感想・評価

tyapioka

tyapiokaの感想・評価

2.2
どうしても文学作品の映像化は独白が多くなる。私はもっと映像でみせてほしい。映像の部分には光るものがあり、ストーリーもなかなかよい分もったいない。
新文芸坐の熊井啓監督作品の連続上映週間で観賞。二本立てのもう一本は「朝やけの詩」(1973年)、どちらの作品も主演女優の素晴らしい演技が話題となった作品だ。こちらは1972年の作品で、冒頭には東宝創立50周年記念という断りも入る。

この時代にはそろそろ珍しくなってきたモノクロ・スタンダードの画面、これがまたこの恋愛譚をしっとりとした雰囲気で美しく包んでいる。とくにラストのふたりで雪を眺めるシーンはモノクロゆえのミステリアスな雰囲気に包まれた素晴らしいシーンだ。

主演は栗原小巻と加藤剛。いずれも印象的な面立ちを持つこのふたりの存在感が、作品のなかでも圧倒的だ。他の登場人物の存在がほとんど心に残らないくらいの完璧な演技を展開している。いわゆる文芸作品でこれだけ役者感を出しているのは、この作品が俳優座の協力のもとにつくられたからかもしれない。

熊井監督は当初主演女優を吉永小百合を想定しいて、実際その線で企画も進んでいたらしいのだが、やはり雪国での初夜のシーンがネックとなったのか、残念ながら出演するには至らなかった。代わって主演した栗原小巻は、この作品で強烈なイメージを人々に植え付け、彼女の代表作となった。

原作は芥川賞を受賞した三浦哲郎の自伝的小説。お互いに暗い過去を持つ男女が惹かれあい、愛を深めていく過程は、恋愛映画の王道をいく。逆に、もしも吉永小百合が主演していたら、こんなにも情感たっぷりの作品にはならなかったからかもしれない。それほどにこの作品における栗原小巻のうるんだ瞳の演技は素晴らしい。

役者の演技が圧倒的な存在感を放っていた時代の終焉に位置する作品。それを引き出すのも監督の手腕に間違いないのだが、とくに熊井啓監督はそれに優れているように思える。彼が社会派監督として培ってきた人間を描く「技」が、この典型的な恋愛作品のなかでも見事に光り輝いている。
takandro

takandroの感想・評価

4.1
結構好き。栗原小巻が初夜を迎えようとするまでの遠目と影は素晴らしかった。最初は吉永小百合で進行してたみたいだけど、この方向で良かったと思う間違いなく。
絶対にこのままじゃ終わらない感出してたのに、幸せに終わって良かったと思いながらラスト30分随分と含ませた演出したなと終わった瞬間感じました。
ひかり

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4.7
栗原小巻の声が、ほんとにかわいい! 栗原小巻のスカーレットの「風と共に去りぬ」見たかったなぁぁ!!!
誰か録画して持ってる人いないかなぁ。
aicher

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4.1
学生時代に観た。
白黒フィルムの良さを認識した映画。
2階から白銀を眺める、栗原小牧の美しさに感銘を受けた覚えがる
そもそも本作のヒロイン役は、当初は吉永小百合で進んでいたというが、もし計画通りだったらどうだったのだろう? 健気で明るいけど暗いというヒロインのキャラクター、幸福だけどどこか翳りがある(暖かいけどどこか寒い)という作品の雰囲気に、果たしてマッチしていただろうか。

まあ、そんなことは比較のしようが無いし、比較に意味もないので、考えても詮無いことである。

だが、雪を描くためにはモノクロでないとダメだという熊井監督のこだわりに貫かれ、初夜に全裸で抱き合う加藤剛と栗原小巻が、鈴の音に気付いて立ち上がり、毛布にくるまって外を走る馬ソリを眺めるというクライマックス・シーンの鮮烈さを体験してしまうと、やはりヒロインは栗原小巻で良かったんじゃないかと思ってしまう。
ササキ

ササキの感想・評価

3.1
主人公の本棚には吉江喬松を始めとする仏文学関連の書籍で埋め尽くされており、私小説『忍ぶ川』の原作者三浦哲郎の実態に忠実な美術が施されている。志乃役の栗原小巻が淑やかで美しく、哲郎と志乃の初夜の場面は『風立ちぬ』の初夜(菜穂子の「きて」の一言で十分でありその先は描く必要はない)に次ぐ美しさだった。