mitakosama

新選組鬼隊長のmitakosamaのレビュー・感想・評価

新選組鬼隊長(1954年製作の映画)
3.2
東映YouTube にて。子母沢寛の新選組始末記が原作の近藤勇を描いた物語。
新選組始末記は三隅研次監督で山崎烝を主役にした異色作を作っているが、今作は至って正統派な新撰組だ。

池田屋事件から始まり、蛤御門の変(禁門の変)で勢いに乗る新撰組。
山南敬介の脱退と切腹、伊東甲子太郎の加入と離脱・暗殺を経て、世は大政奉還へ。
鳥羽伏見の戦いにより敗走を繰り返す新撰組に対し、近藤は残された隊員を守る為に流山にて一人投降する。

先ずは「近藤勇を演じる役者、実年齢よりもかなり年上」問題だ。
どの映画にも共通してツッコむが、近藤が斬首されるのは35歳だ。それを今作は51歳の知恵蔵が演じる。主人公に父親的な威厳を持たせようとするのは判るが、如何せん年を取りすぎだって。
それでも冒頭の池田屋襲撃のシーンなどは凜々しくて似合ってると思ったのだが、話が進むにつれてお父さん感が増していく。

土方はよくわからない俳優さんだったが、沖田が錦之介だ。結核で薄幸な美少年として準主役として活躍する。
土方が粗暴な存在として、比較的に脇役となっている点は注目だな。(蛮勇な信長タイプより質実剛健な家康タイプが好まれた時代だと言える。)

割と芸妓とのメロドラマが多かったりするのも意外だ。
極めてオーソドックスな映画な故に知恵蔵の濃ゆさがむせかえる。
mitakosama

mitakosama