Ren

ロマンシング・ストーン/秘宝の谷のRenのレビュー・感想・評価

2.5
「娯楽映画」ってこういうことなんだと思います。難解なポーズも大層なメッセージも一切無し、楽しくてキャッチーで後味が良ければ万事OK。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が産み落とされる前の助走段階としては文句の付けようの無い、紛うこと無き「娯楽映画」のお手本でした。

『ターザン』をジェーン視点から描いたみたいだな〜とか、全体的なテンションは『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』っぽいな〜とか連想する作品はたくさんありますが、お約束を守ったエンタメとしては正解です。崖とかボロい吊り橋とかオフロードカーチェイスとか宝とかワニとか(書けば書くほどインディだ....)、待ってました!な見せ場ばかり。醤油ラーメンを頼んだら醤油ラーメンが出てきたような安心感。

その中で、アドベンチャーではなく物語の主軸をラブコメに振ったのが今作の特徴であったと思います。ゼメキスはこういう80'sなノリの恋愛が似合う。サバイブの緊張感は削ぎ落とされ、映画は次第に密着していく男女の触れ合いを描くことに注力されていく。

小説という虚構の世界に生きてきたジョーン(キャスリーン・ターナー)が、まるで小説みたいな現実に直面したとき、どう地に足つけて進んでいくか。ラストの最重要パートでジャック(マイケル・ダグラス)はコメディ要因に成り下がり、ジョーン自身の選択・行動の話になるのも、序盤からの対比として分かりやすく効いていてよかったです。
というか、ジャックを妙に神格化しカッコよく描いていないのがコメディとして高性能だと思いました。服のプレゼントに岩壁滑り落ち、ワニ革ブーツなど、ずーっと彼は自分本位でちょっとダサい。それでも惹かれ合うのが、危険がいっぱいのジャングルで生まれる純愛の説得力を上げる。

映画的に自分の言葉で語りたいことは以上。ワニさんに攻撃されるところで、ちゃんと腕を映していたのが好感触。
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