T太郎

一枚のめぐり逢いのT太郎のレビュー・感想・評価

一枚のめぐり逢い(2012年製作の映画)
3.8
826
恋愛映画だ。
ゴリゴリの恋愛映画である。

物語は戦場から始まる。
どこの戦場かはよく分からない。
多分イラクだろう。

ローガンは海兵隊の兵士だ。
彼は戦場の瓦礫の中で一枚の写真を見つける。
美しい女性のポートレートだ。

写真の持ち主を探しながら、肌身離さず胸のポッケ(かどうかは知らん)に入れていた。
激しい戦闘を繰り返しながらも彼は生き延びていくのだが、それは写真のお陰だと彼は半ば信じているのだ。

帰還してから彼は写真の女性、ベスを探し出し、彼女が経営する・・・
あれは何屋さんと言うのだろう。
犬を預かって世話をしたり、訓練をしたりする屋さんで働き始める。

そして、二人は恋に落ちるという寸法だ。

この過程がとてもいい。
ベスから見ればローガンは非常に胡散臭い人間だ。

だが、警戒しながらも次第に心惹かれていく様子は、永遠の思春期との異名を持つ私にも深く刺さるキュンシーンだったのだ。

実に羨ましい。
私もこのような恋をしてみたい。
ドラマチックでロマンチックな恋をしてみたいものだ。

・・・お、おっさん恋して何が悪い!
おっさんにも人権があるのだ!
恋に恋する権利があるんや!
かかって来んか~い!
(誰も何も言ってないよ)

恋に障害はつき物だ。
当然、この作品にもある。

ローガンは写真にまつわる話をベスにできないでいた。
写真の持ち主が戦死したベスの兄だと知ってしまったからだ。
彼は生き延びた事に罪悪感を感じるのだ。

この沈黙が果たしてどのような影響を及ぼすのか。

また、ベスの元夫が実に不穏な人物だ。
典型的なアメリカ男といった風情である。
いわゆるマッチョ信仰の信者だ。
警察官であり、父親が町の有力者でもある。

彼はローガンを目の敵にする。
息子の親権を盾にベスに復縁を迫ったりするのだ。

実に憎々しい人物なのだが、彼も人の親だった。
彼の変化も見どころの一つだと言えるだろう。

良かった。
恋に恋するおっさん必見の素晴らしい恋愛映画だ。

私は運命など信じていない。
全く信じていない。
それはもう清々しいほど信じていないのだ。

美女の写真を探して下ばかり見て歩いているが、信じていないのである。
T太郎

T太郎