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マタンゴの堊のレビュー・感想・評価

マタンゴ(1963年製作の映画)
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檻の向こう側へカメラが越境して、「ぼくだけが戻ってこれてよかったんだ」の台詞の後ふたたび向こう側へ(この世界へ)向かうラストに本当にしびれる。フィンチャーの『セブン』のラストより40年くらい早い。
「ぼくの小説にはこういう場面がよく出てくるんだ」「すべての小説はなんかの模倣」的なメタ発言嬉しい(この作品自体が多数の原作があるらしいですね?)。
幽霊船のなかの冷蔵庫を開けたらキノコまみれな美術、夢に出そう。本多猪四郎映画でしかない船内の図が書けそうになるくらい動き回るカメラとこれでもかと胞子を見せてくれる美術が嬉しい。ラストでマタンゴと結合したケロイド状になる皮膚をこちら側に見せてくれるの、すごく興奮した。欲望に抗えなかったしるしをこちらに見せてくれる。「どうにかなってしまったこと」をかたちで示すこと。
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