白いかざぐるま

害虫の白いかざぐるまのネタバレレビュー・内容・結末

害虫(2002年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

世間一般にいう「良い子」の中に馴染めない、家庭に問題を抱えた女の子の闇。

シングルマザーで唯一頼りたいはずの金髪ルックの母は、男に依存しすぎてメンタルが不安定。母の視線は娘である自分ではなく、男に向いているという状況でそこに信頼関係はない。

サチ子は感情に乏しい訳では無く、不良少年達には普通のかわいらしい、活発な女の子の顔を見せて積極的に輪に入ろうとしているが、学校や家では無表情で無感情。
精神年齢が周りよりも高いのか、同年代の「良い子」達を冷めた目で見ている。

自分の居場所を探して、不良少年達とつるんでいるが、やはり人間関係を作るのは苦手なのか、もう一つ壁を乗り越えて仲良くなろうとは出来ないように見えた。
不良少年タカオへ好意を持っていたはずだが、彼が唐突に行方をくらましても探そうとした気配はなかった。

サチ子はいつも状況を淡々と受け入れて、また無表情になる。それは母の交際相手から襲われた時もまた同じだった。

クラスメイトの夏子が何とか学校に来れるようにがんばる姿は、これはこれで健気で良い子なんだけど、サチ子には伝わらないことが切ない。

ラストシーンで、先生がようやくやって来たのにサチ子は声をかけることはしなかった。
観る人によって、どうとでも解釈できる作りだけど、もしも再会したとしても、私にはこの先生がサチ子を闇から救えるほどの存在にはとても見えない。
サチ子は先生とすれ違った事も、ただ淡々と受け入れたのだと感じた。

ちなみに、作中で宮﨑あおいが笑うシーンは数えるほどしかないのだけど、その笑顔の破壊力にはやられますよ…