「いつまで自分を責める気だ?」
「やめたいよ、でもできない。兄貴を愛してた…」
「今生きていることを感じ取れ」
「辛いだけだ」
「いや、快い」
「なぜわかる?」
「友人だからだ」
「パパを尊敬してる」
「尊敬しすぎると失望するぞ」
「失望しないよ、愛してるもの」
えっ?これロバート・レッドフォードが監督してたの??マジで?!
しかもこれが初めての監督作で、アカデミー監督&作品賞を受賞してたのか、、それも納得な、凄い作品だった。
見てるのがなかなか辛い場面が多いので、何度も見たい作品ではないが、
家族を失くした人間の内面の葛藤というセンシティブな問題を、逃げずに描き切りキチンと完結させたこと、家族が崩壊へと向かう展開が全く違和感無理なく展開していて演出がスムーズだったこと、音楽の使い方が巧みだったこと等、
印象に残ったことが多い。すごい作品を撮ったんだなあ。しかも40年前
どこにでもある家族の朝ごはん風景
「朝ごはん要らない」と言った息子のフレンチトーストを流しに放り捨てる母の姿から、一家にただならぬ雰囲気を感じる
明るく元気な人気者の兄の事故死は、自分に原因があると自分を責め続けた弟コンラッド。元々頭がよく繊細な気質で神経質な彼は、手首を切って自殺未遂を犯したことがあるらしい。
自分を保つために、大勢に囲まれて賑やかにしていたい、プライド高い母
コンラッドの異変に気づいているのに、見て見ぬフリをする父
気の乗らない会話、噛み合わない気持ち
感情を爆発させ、正面からぶつかろうとしない家族
気が進まないのに、あんな大勢が集まる誕生日パーティーに行ってニコニコしろなんて、1人が好きな人間には社交性を重視するアメリカ社会は辛いかもしれない
精神科医に洗いざらい気持ちを、友人には怒りをぶつけ、泣き苦しみがらも一生懸命自分自身と向き合おうとする息子に対し、
のらりくらりお互いの気持ちをスルーしながら表面を取り繕ったままの夫婦が、遂にぶつかる終盤。そしてラスト
誰のせいでもない、ただ結果がそうなっただけ
人を変えることは難しい
変わろうと自らが思わない限り、人は変われない
感情をぶつけ合う夫婦も印象的だけど、MVPは間違いなく、息子コンラッドを演じたティモシー・ハットン。喜怒哀楽を存分に表現していたし、号泣しながら自分と向き合う場面にはコチラも思わず涙が。兄バックの事故死シーンがインサートされるのも効果的だった。対話した医師、最初は鼻につく奴だったけど、最後はいい仕事してたなぁ
コンラッドがデートする女の子はボーイッシュながらチャーミングで可愛かった
あと、ところどころで自然が美しく撮られてるなぁと思ったら、ロバート・レッドフォードって元々画家志望だったのね…万能なのか
やっぱり、泣きたい時には泣くべき
ポジティブだけでは成り立たない、ネガティブな感情に向き合い対話する
心に蓋をすることが習慣になってはいけない
なぜこう感じた?自分の感情に問いかけることは大事
家族だからって相手の全部を理解してるわけじゃないし、できない
それでも一緒にいようとする、歩み寄り理解する努力ができるなら、それが家族なのかもしれない