普通の人々の作品情報・感想・評価・動画配信

「普通の人々」に投稿された感想・評価

GreenT

GreenTの感想・評価

3.0
シカゴ近郊に美しい一戸建てを持つジャレッド家の朝。お母さんが朝食を作り、お父さんはなかなか起きてこない息子を起こす。「あなたの好きなフレンチ・トーストよ」と言うお母さんに息子は「お腹が空いてない」と言う。するとお母さんはさっさとそれを捨ててしまう。

一見パーフェクトに見えるのに、腫れ物に触るようにギクシャクしているこの家族。

息子のコンラッドは悪夢を見たり、明らかになにか精神的な悩みを抱えている。父親のカルビンは心配しているようなのだが、母親のベスはコンラッドを嫌っているように見える。

どうも観ていると、ベスは弁護士の夫、スポーツ部で花形選手の息子、郊外の一戸建てにホームパーティ、ヨーロッパ旅行にゴルフと、自分の「理想の家族」以外の現実は受け入れることができず、心に傷を抱えるコンラッドを家族全員で支えて行こうというよりも、「こいつのせいで私の人生に汚点がついた」というような気持ちのようでした。

母親のそんな気持ちを察してしまっているコンラッドは、罪悪感に囚われているし、また親が望む以外のものになりたい、と思ったりしたら一発で否定されるという環境なので、自分がどうしたいのかさえもわからない。

お父さんは、親としてコンラッドをサポートしたいのだが、問題に蓋をしてパーフェクトな家族を装いたい妻に負けてしまう。

私はこのお話、崩壊していく家族を良く描いているなあと思うのですが、完全にお母さんのベスが悪者だなあとちょっとけげんに思いました。監督のロバート・レッドフォードもベス役のメアリー・タイラー・ムーアも、ベスのキャラクターは自分の父親を思い出させるとインタビューで言っているそうなので、ベスのような態度はどちらかというとこの時代の白人富裕層の父親に良く見られるタイプと思われるのに、ストーリーに仕立てる時は母親が悪者にされるのかなと。

まあ最近では、自分の権利ばかりを主張する白人女性に「カレン」という総称が付くくらいなので、お母さんが悪者ってパターンもあり得るとは思いますが。

それにこのお母さんは、「アメリカン・ドリーム」の犠牲者なのかもしれないなあとも思う。特にこの世代、女性の「人生が充実する」ってのは結婚して幸せな家庭を持つこと以外になかったのかもしれないから、それがガラガラと崩れていくのを受け入れられなかったのもしょうがないのかも。最後旦那さんに「オレのこと、今でも愛しているか?」って訊かれて、「・・・最初にあなたに対して感じた感情を今でも持っているわ」って答えるんだけど、「愛している」とは言わなかったから、きっと「あなたに対して感じた感情」ってのは「この人となら幸せな結婚ができそう」って感情だったんだろうなあって思った。

だって、そういう男を選びなさいって教えられてきたんだろうから。人を愛するとはどういうことかを教えられたのではなく。

なんか『ブルー・ヴェルベット』を思い出したよ。美しい郊外の家の庭の、しっかり手入れされた芝生の下には気味悪い虫がうじゃうじゃいる。アメリカって、こうして上部だけ繕っていることがすごい多いんだろうなあって。
snatch

snatchの感想・評価

4.2
あまりにも繊細な家族への描写が静かに沁みわたってくる……私たちと同じ普通の人々が、ある日突然一生消えない傷を負う。映画が進むに連れ、息子、父の中に自分が同化してくるほど、丁寧に丁寧に監督ロバート・レッドフォードは心の中を深掘りしていく。
息子を演じた二十歳のティモシー・ハットンの表情感情は、何度も彼の苦しみと喘ぐ心が私の胸中に迫ってきた。独りで葛藤する彼と彷徨うしかない父親に、心のつっかえ棒が外せるようにと耳を傾ける1人のセラピスト。この人がそばにいてよかった←「旅立ちの時」のリバー君のお父さんを演じた父性感の強いジャド・ハーシュさん。母親も吐露できないのかと思ったが、彼女は1ミリも動かない、動けない。

母親の心理は一番えぐく解きほぐされないままに終わる。なぜ、ほんの少しでもいいから触れてあげられないのかと思うが、終幕すると、彼女の永遠に続く失った悲しみ、凍ってしまった感情もわかってくる。
孤独に老いていく彼女が、遠いいつの日か、家族からか彼女から家族に助けを求められたらいいのだが…と本当に思う。

最近観た数本の映画も様々な家族の形や問題を描いていた。家族ほど変化し複雑で残酷でもいて、支えとぬくもりの希求も止まないのは一緒だった👨‍👩‍👦‍👦
Kaichyi

Kaichyiの感想・評価

3.0
好きなレッドフォード監督ということで鑑賞。しかもアカデミー賞とってますね。
バックミュージックもなく淡々と進む日常生活。登場人物の内面にある葛藤。
決して引き込まれる感じではなかったかな。
どうしてこの映画が人々の心を打ったのだろうと考えていた。
ストーリーは小説のノルウェイの森に似てるところもあった。そういう時代なのかな。

あ、そうそう。ドナルド・サザーランドの若いころ初めて見た!今だと「24」で有名なキーファー・サザーランドの親父だけど、ほんとそっくり。
pokuta

pokutaの感想・評価

4.5
非常に面白かった。とてもよくできた作品。裕福で何一つ問題なさそうな家族、歯車が一つズレると、少しずつ狂っていき最後は崩壊する。家族だからなんでも話せる、理解できる、というのは大きな勘違い、もちろんその努力は必要である、と最後のシーンは言っているように思えた。個人的に興味があるのは精神科医と次男の会話。さすが精神科医。次男の心情を暴露していく。でも医者と患者の関係で友達発言はありなのか、そこは引っかかりある。
よとり

よとりの感想・評価

3.6
トラウマから全てを拒絶するコンラッド
問題に向き合えずに逃げてしまう母親
自分の思いを伝えきれない父親

全員が家族崩壊の肩紐を握っていた

共同体としての家庭において、
思考放棄した家族関係は終わりでしかない

でもそれは彼らが異常だったからではない
むしろ「普通」に我々がしてしまう行動だ

どんな人であれど何か悩みや欠点を抱えているがそれは当たり前のことであって
普通であっても摩擦のきっかけが生まれることでバッドエンドに向かうこともあるのだ
広山広

広山広の感想・評価

3.0
「普通の人々」
タイトルが作品を完成させている。邦題は直訳が好き。

このレビューはネタバレを含みます

???なお母さんも「普通の人々」の1人なわけで、めちゃ悪役だとは描かれていない、というかバッドエンドのような終わり方のようで意外と本人たちはさっぱりしているように感じられた。感情の機微を万遍なく優しく肯定的に捉えられてとても良かった。
fjk

fjkの感想・評価

3.4
自分自身しか愛せない人と共に過ごす虚しさ。コーラッドの話かと思ってたら話の核はお父さんだったのは驚いたし、面白い構成だと思った。
結構好きな作品でした。
決してドラマチックではないけれど、
心理描写が細やかで心の葛藤と感情が
伝わってきました。

後半からの盛り上がりは思わず見入ってしまいました。
ラストのラストでやっとこの家族に安心感が生まれたように見えた。

一見して“普通の人々”に見える朝食シーン。体調が優れない次男コンラッドは食欲が湧かないため母親に朝食不要を告げる。次男のテーブルからプレートを取り上げた母親はキッチンのシンクに手つかずのフレンチトーストをぶち込む。ここから“普通の人々”のささくれ立った心の模様が露呈されていく。

母性だの温もりだの一切葬り去った世間体第一の冷た〜い母親を演じたメアリー・タイラー・ムーアはお見事だったけど、自分の内なる叫びと格闘するコンラッド役のティモシー・ハットンの演技はもっと素晴らしかった。賞を取ったのも頷ける。良い作品。
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