ペイン

ソドムの市のペインのレビュー・感想・評価

ソドムの市(1975年製作の映画)
4.5
“ミヒャエル・ハネケの生涯ベスト映画”の1つらしいです(笑)でも私もホントに大傑作だと感じました。圧倒されました。

性器の露出は基本形態、スカトロ描写満載などモラルに反する非人道的なシーンの数々。これを超えるショッキングムービーはあるのか?といった感じである。

ただこの映画が凄いのはどれだけ下劣なことをやっていても“気品”に溢れているところ。映像、美術、衣装どれをとっても美しいのだ。

描かれていることは最低極まりないのにどこまでも崇高で惹かれて魅入ってしまうこの感覚はスタンリー・キューブリックの「時計じかけのオレンジ」を久々に思い出した。“最低”もとことん突き詰めると崇高な芸術になり得るのかもしれない。

パゾリーニ監督はこの映画を撮った直後に暗殺されている。それはパゾリーニ監督が自らの怒りを映画の様々な描写の中に込め、全てをやり尽くし出し切ったからだろう。

スカトロ描写に関しては現代の消費文明、特に食物の浪費(飽食)を強く批判する意図があったと語っていて、また経済面でイタリアの主導権を握る北イタリアの文化が貧しい南イタリアへ浸食していることに対する批判でもあったという。

ミヒャエル・ハネケ監督の他にも、ギャスパー・ノエ監督や、「ムカデ人間」のトム・シックス監督など、本作を生涯ベスト映画に挙げている映画人は多数いる。
ペイン

ペイン