まるで実在するかの様なギターリスト、エメット・レイの半生をドキュメンタリー風に描いたストーリー展開。
ウディ・アレン作品にそこ迄の知識はないけれどこれが彼らしさなのか?
かなり癖のある個性的な作風だった。
ただ、ショーン・ペンの演じるエメット・レイの破天荒ぶりや嫌な男っぷりは流石の演技力、反して高度なギターテクニックと奏でるメロディーの美しさは圧倒的だった。
破滅的で並外れたエゴイストぶりも神がかった才能の前では何故か許せてしまうし魅力的にも感じてしまう、その上軽薄な殺し文句も何故か女心をくすぐるという、そっちの才能までも持ち合わせていた。
そしてクラシカルな雰囲気とジャズの響きは美しくも心地良く、これ迄のツケが回ってきた当然とも思える結末はやはり切なく悲しいものだった。
失って初めて気付く事って恋愛においては不思議な事じゃないけれど、哀愁を帯びたエンドクレジットのギターの音色は一際切なく胸に染み入るものだった。