イチロヲ

不良番長 どぶ鼠作戦のイチロヲのレビュー・感想・評価

不良番長 どぶ鼠作戦(1969年製作の映画)
4.0
新宿を追われて大阪まで逃げ延びてきた愚連隊・カポネ団が、地元のヤクザが経営する寂れたストリップ劇場を立て直そうとする。梅宮辰夫が主演を務めている、不良番長シリーズの第5作目。

本作では、前作までのギャング色が完全に後退。どんちゃん騒ぎのナンセンス・コメディに振り切っている。ヌードは登場しないが、後に東映が展開することになる「温泉芸者シリーズ」の前夜祭のような印象を受ける。

番長との友情で結ばれる、釜ヶ崎のチンピラ役を葉山良二が熱演。その女房役を、石井輝男作品で鍛えられてきた賀川雪絵が演じている。さらに、ストリップ劇場のオーナー役を悪代官演技で有名な上田吉二郎が演じており、一挙手一投足に笑わせられる。

「底辺なりに頑張っている人間」の生態を、徹底して喜劇調に描いているため、心が突き動かされる。裸一貫の崖っぷち状態から物語が始まるところも好印象。
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