密室空間のサスペンス、個性的なキャラクター、緊張感のある音の演出。まさしく王道な脱獄映画。
本来犯罪者である囚人は応援しにくいはずで、「無実の罪で収監」などのエクスキューズを挟みがちだが、今作はイーストウッドの存在感だけで観客を納得させ、ドラマ性を抑えながら、脱獄の成否に絞って話を進めて行く。
そのイーストウッドと対照的に、バッツやドクには個人的な事情が明かされていて、それぞれがドラマ上で重要な役割を果たしている。
爪切りやスプーンを盗む描写は細かいが、後半は勢い重視で割と何でもすぐ手に入っていた印象。
善悪の区別から離れ、生死すら曖昧だが、とにかく抗おうとした生き物の生々しさ。エンドロールにそんな印象を持った。
無能な看守たちはゲノム兵みたいだった。所長とイーストウッドのやりとりが全体に皮肉が効いていて面白い。78点。