風の旅人

フローズン・リバーの風の旅人のレビュー・感想・評価

フローズン・リバー(2008年製作の映画)
3.5
貧困から犯罪に手を染めざるを得なかった二人の母親の物語。
二児の母であるレイ(メリッサ・レイ)は、ビンゴ会場で新居の購入費用を持ち逃げした夫の車を発見する。
しかしそれを運転していたのは、原住民(モホーク族)のシングルマザー・ライラ(ミスティ・アッパム)だった。
レイがお金に困っていることを見抜いたライラは、レイに不法移民の密入国の手助けをしないかと持ち掛ける。

凍ったセントローレンス川(『Frozen River』)が二人の母親の置かれた危うい状況を表しているようだった。
中盤でパキスタン人夫婦を車で運んだ際、バッグの中身をテロの武器と勘違いして捨てた後、赤ちゃんが入っていたことがわかり拾いに行くシークエンスが印象に残る。
確かに二人は犯罪者だが、他者を想う気持ちに変わりはない。
共感はできなくても、二人の置かれた状況を無視して糾弾することはできない。
『万引き家族』に通じるものを感じた。
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