ちろる

ディーバのちろるのレビュー・感想・評価

ディーバ(1981年製作の映画)
4.3
ヴァイオレンスさと静けさが交互に訪れて観心地が良く、芸術性と娯楽性が両立する非常にセンスが良いと感じる作品でした。
レコードを出さない美声の歌姫の幻の生録音テープを持つ郵便配達員ジュールが、ひょんなことから闇の組織に関わる告白テープも偶然に手にしてしまうことで危険な人物たちに命を狙われることになる。
ディーバ(歌姫)シンシアのテープと、闇に囚われた娼婦の告発のテープという2つの謎についてジュールを軸に描かれているが、訳分からなくなりそうにもなる展開が見事に構成されていてプロットの良さにただ感心しました。

ベトナム少女アルバが恋人と生活するブルーが印象的なアジトのような部屋のシーンは不思議な感覚に陥るのでとても好き。
アルバが発する言葉はとても詩的できれいで好き。
タイトルにもなっているディーバ、シンシアはなかなか登場しないけれど、だからこそ彼女が出て来たときの存在感と、彼女の浄化されるような澄んだ歌声は神々しくて、私もシンシアの歌声が入った幻のテープ欲しくなりました 笑

死の描写など残酷なシーンもありながら、フランス映画にありがちな辛気臭さはまるでなく、どこもかしのもおしゃれなのになぜかスノッブな雰囲気もないという絶妙さが憎い!
パリの街中や地下鉄をバイクで逃げ惑うアクションシーンでさえ、ミュージック・ビデオのようにスタイリッシュでした。
ちなみにどこを切り取っても写真集の一ページになりそうな考え抜かれた構図と美しい映像の正体はリバー ランズ スルーイットやチャーリーとチョコレート工場を手がけた撮影監督フィリップ ルースロだったと知って納得しました。
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