平気な顔で嘘を吐ける、こういう人は絶対に信用ならない。リナもそのことが分かっているはずなのに、愛ゆえに(自己愛も含め)別れられない。
印象に残ったのは、リナの父親が亡くなったと報告を受け、リナとジョニーが実家へ戻るシーン。
身内にそれぞれ遺産が振り分けられるが、リナに残された金額の少なさにジョニーはあからさまな落胆の色を見せる。そして、帰り道すがら「僕と結婚して後悔してるかい?」とジョニーは尋ねる。リナはおそらくそれ以前のジョニーの行ないを頭に浮かべただろう。勝手に先祖代々の椅子を売り飛ばし、賭け事に使う一方、仕事のお金を持ち逃げして解雇されていたのだ。
しかし、ジョニーは言う。「僕と結婚していなければ、もっと遺産がもらえたはずだから」。このシーンがジョニーの本質を表していると思う。
リナはたくさんの疑惑の欠片を拾い集め、夫を疑った。友人の次は、私を殺そうとしているのではないか?と。だが、その疑惑を払拭した(とリナが思い込んでいる)のは、あの嘘だらけのジョニーによる言葉でしかない。何故、彼の言葉が真実であると思うのか?二人が乗る車がハッピーエンドに向かうことは決してないはずだ。
※メガネがないと、見えない。
=メガネを通してしか、見えない。